理学部生物科学科(高分子機能学)では、キャリアパス教育の一環として、2、3年生を対象にした学科イベント「DCは語る」(DC:Doctoral Course=博士課程)を定期的に開催しています。博士課程の学生の研究生活や進学経験を聞くことで、進路の一つとして博士課程進学を考えてもらうことが目的です。2022年12月2日は、生命科学院 生命融合科学コース 博士1年の浦上 彰吾(うらかみ しょうご)さんが2年生を対象に話をしました。
浦上さんは、理学部生物科学科(高分子機能学)を卒業後、生命科学院生命融合科学コースに進学し、先端生体制御科学研究室(西村研究室)に所属しています。
糖鎖の検出を簡単に
糖鎖の質量分析をしています。糖鎖はタンパク質や脂質と結合して、生体内のあらゆるところに存在しています。糖鎖を分析することで、病気の診断も可能になります。しかし、糖鎖だけを取り出すことは難しいのが現状です。そこで、糖鎖を簡単に検出できる方法を研究してきました。
糖鎖の質量分析は、微生物の検査にも使えます。例えば、食中毒の原因となる大腸菌O157など、危険な細菌の同定を迅速化する研究をしています。
博士課程進学のきっかけ
研究室に入り、研究を始めてみて、楽しいと思うようになりました。研究することは、誰かに影響を与える、何かに役立つ可能性があり、挑戦する特別な喜びがあると感じています。
博士課程に進学するつもりはなかったのですが、微生物の研究に出会って考えが変わりました。僕は、この技術が世の中を変えられると予想しています。これからどのように研究が進んでいくのかを見極めたい、自分もそれに携わりたいと思い、進学を決めました。
進学して良かったこと
一番は、研究が楽しいことです。また、得られるスキルが多いことも魅力です。人前で発表すること、英語を使うこと、文章を書くことが増え、いずれも苦手意識が減りました。
今年からは国内外の学会に参加しています。論文で名前しか知らない研究者、同じ研究をしている学生などに、直接会って話せることは刺激になります。
支援はいろいろ
博士課程への進学には不安があるかも知れませんが、最近では支援の制度もいろいろあります。経済面の支援としては、助成金が利用できます。短縮修了制度を使えば、1年ほど早く卒業することも可能です(専攻やコースによる)。僕も短縮制度を利用して、半年早く博士課程に進学しました。また、就職を支援してくれる組織が学内にあります。
選択肢の一つに
進学するかどうか、今から決める必要はないと思います。実際に研究室に入って、研究をしばらく続けてみないと分からないことが多いからです。
博士課程は、もちろんいいことばかりではありませんが、僕は進学して良かったです。みなさんも進路の選択肢の一つとして考えてみてはいかがでしょうか。
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