理学部生物科学科(高分子機能学)では、キャリアパス教育の一環として、2、3年生を対象にした学科イベント「DCは語る」(DC:Doctoral Course=博士課程)を定期的に開催しています。博士後期課程の学生の研究生活や進学経験を聞くことで、進路の一つとして博士後期課程進学を考えてもらうことが目的です。
2025年12月5日は、生命科学院 生命科学専攻 生命融合科学コース 博士後期課程1年の川合 春輝(かわい はるき)さんが学部2年生に向けて話をしました。

目に見えないタンパク質分子が見えてくる
筋肉が動かなくなる病気として知られる筋萎縮性側索硬化症(ALS)。その原因と言われるタンパク質、TDP-43について研究しています。神経細胞の中でTDP-43が集まって固まることが、病気につながると考えられています。
タンパク質の構造を調べるために、蛍光色素を使っています。光を当てると蛍光色素は構造が変化し、光る状態と光らない状態を行き来するため明滅します。光の明滅からタンパク質分子の構造を知ることができます。目には見えない世界が少しずつ見えてくることに、研究の面白さを感じています。
本から受けた影響
生き物の研究をすることになったきっかけは、本から受けた影響です。中学生の時に『極限世界のいきものたち』(横山雅司著、彩図社)を読みました。砂漠や深海などの極限環境に暮らす生き物の、不思議な生態がたくさん載っています。「生き物ってすごいな」と思い、興味を持ちました。
高校生の時に影響を受けたのは『利己的な遺伝子』(リチャード・ドーキンス著、紀伊国屋書店)です。遺伝子は、自分と同じ遺伝子を次世代により多く残したい。そのために生物を「乗り物」として利用する、という説が唱えられています。この本を読んで、分子レベルの生命現象も面白いと感じました。

一つのことをやり切りたい
生き物の研究が盛んな北大へ入学し、高分子機能学に進みました。研究生活を始めてみると、けっこう楽しかったんです。基本的には大変なことが多くて、たまに面白い瞬間があるような特殊な環境ですが、僕には合っていたようです。何か一つのことをやり切る経験をしたいとも考え、博士後期課程への進学を決めました。
自分で悩んで決めてほしい
自分で決めた進路なら辛くても耐えられますが、人から言われたままに進むと辛さに耐えられないかも知れません。進路は、ぜひ自分で悩み、納得したうえで決めてほしいと思います。