多方面で視野を広げることができた海外留学

川口遥香
生命科学専攻・博士前期課程・1年
スウェーデン、ストックホルム
2019年10月30日~2019年12月30日

大学院1年の冬、スウェーデンの首都ストックホルムへ約二か月間留学に行ってきました。留学先は、世界有数の医科大学であり、ノーベル生理学・医学賞を決める機関として知られるKarolinska Insititutet(KI)です。夏に開催された所属研究室主催で行われたワークショップに講師として来られていたブラダナ教授の研究室に2か月間所属させて頂きました。

この留学の目的は、留学期間中に開催される二週間のコースに参加し、蛍光タンパク質を用いた生細胞イメージングの応用といった専門性の高い知識や手法を学ぶこと、また、現地の研究室での研究活動を通して国際的コミュニケーション能力や論理的思考力の向上を図ることの2つです。

留学中に開催されたノーベル生理学・医学賞受賞者の講演の際の1枚

一つ目の目的であるfunctional Fluorescence Microscopy Imaging (fFMI) courseは2019年11月18日~29日にKIで開催されました。このコースでは二週間にわたり蛍光イメージングの基礎から応用までを、座学での講義や実際に装置を用いた実習を通して学んでいきます。参加者の多くはKI所属の学生でしたが、中国やスペインといった多国籍の留学生がほとんどでした。

コース最終日のプレゼンテーションの様子

コース中は毎日レポート課題が課され、英語でレポートを作成します。翌日、そのレポートを3~4人のグループで読み合い、ディスカッション、フィードバックを行う時間が設けられます。海外の学生は多くのことに疑問をもち、臆することなく意見を言い、積極的に質問をするなど、意識の高さを感じました。
また、多方面からの意見を納得して聞くことで、自分の考え方や視野に広がりができた貴重な体験となりました。

コース修了後、参加者全員で集合写真

上記コース以外の期間は、ブラダナ教授の研究室にて自らの実験を進めました。私は、現地研究室にある多点蛍光寿命イメージング顕微鏡という装置を用いて、緑色蛍光タンパク質GFPを用いた実験を行いました。日本の所属研究室にはない装置を自ら用いることで新しい測定法を習得することができました。また、研究の進捗報告を行う週一回のセミナーでは、ラボメンバーと、実験の結果や今後の研究の進め方についてディスカッションを重ねたことで、自分が言いたいことをジェスチャーや図を用いて何とかして伝える能力の向上にも繋がりました。さらに、様々な意見を取り入れることで物事をより多角的に見る力もついたと感じます。

ラボメンバーの自宅にお招きいただいた際の一枚
自宅近くから見える夜景とともに

休日には様々なところへ足を伸ばし、スウェーデンの歴史や文化への理解を深めました。
ウプサラ、というストックホルムから電車で1時間ほど北側にある街では、スカンジナビア半島最大級のウプサラ大聖堂や北欧最古の大学といわれるウプサラ大学へ行きました。古くから多くの人々に信仰されてきたウプサラ大聖堂は街のどこからでも見えるよう建てられており、その大きさに圧倒されます。また、教会内部は繊細な彫刻やステンドグラスが施されており、荘厳な雰囲気でした。日本では体感できないような空間に直に触れることができ、良い体験となりました。

ウプサラ大聖堂
大きすぎて写真に入りきりません…

最後にホームステイ先での生活についてですが、私はスウェーデン在住のロシア人夫婦のもとに2か月間お世話になりました。私たちとは全く違う国籍、環境、文化といった背景を持つ方々との会話は想像以上に楽しく、自分にはない価値観に触れあうことのできる、貴重な時間となりました。

今回の留学を通して学んだ多くのことを今後の研究や生活に生かしていきたいです。