【高校生対象】8(火):ひらめきときめきサイエンス「生命を担う不思議な高分子〜を調べてみよう、操ってみよう」

<高校生のみ対象>
ひらめき☆ときめきサイエンス
「生命を担う不思議な鎖~高分子~を調べてみよう,操ってみよう」
私達の学科では、DNAや蛋白質,糖鎖といった生体高分子が,細胞などの生体内でどのように働いているのか?という疑問に、生物・化学・物理にまたがる最先端の融合領域研究で挑んでいます。そこで、このイベントでは次の8つのテーマから1つを選んで、最先端の研究を体験してもらいます!

 

【日時】平成30年8月7日(火)9:00-16:30 (オープンキャンパス翌日)
【開催場所】北海道大学 理学部2号館
【募集対象】高校生45名
【申込方法】6月10日(日)12:00(正午) 申し込み専用WEBページで受付開始(先着順)
【申込締切】平成30年7月27日(金)定員に達し次第締切
【問合せ先】hirameki@sci.hokudai.ac.jp
※このプログラムは,大学や研究機関で「科研費」(KAKENHI)により行われている最先端の研究成果に,直に「見る・聞く・触れる」ことで,科学のおもしろさを感じてもらうプログラムです。

 

1)生きものにちかい材料「ゲル」を作ろう                                                                        

生きものは、柔らかく水を含んだ素材「ゲル」で出来ており、とてもすごい機能を持っています。例えば、普通の材料は割れたら決して元に戻りませんが、皮膚に出来た傷はそのうち治ります(自己修復)。我々は、様々な高強度、高機能ゲルを作り、生きものに似た「すごい機能」を実現しようとしています。このプログラムでは、世界一強いDNゲルの合成、傷がひとりでにふさがる自己修復ゲルの体験などを通じて、皆さんにゲルのすごさを実感してもらいます。

 

2)生体分子の構造を重さで決める~質量分析技術

※このテーマは化学物質に過敏な方はご遠慮ください。

我々の体を構成するDNA、タンパク質、糖鎖は、核酸、アミノ酸、単糖などの単位構造が連なった分子であり、その組み合わせによって異なる重さ(質量)となります。質量分析技術ではこのような分子一つ一つの重さを調べることができるため、その分子がどのような原子の組み合わせでできているかが予想できます。さらに、特定の重さの分子を分解してその中の配列を探ることも可能です。分子の重さで生命の神秘を探ってみませんか?

 

3)磁石の力で調べる生体分子の構造~化学から創薬まで活躍する核磁気共鳴技術  

私たちヒトを含め、すべての生物は様々な「分子」から出来ています。この分子が色々な機能を持ち、複雑な生命現象が成り立っています。しかし、分子はサイズが小さく、顕微鏡でも観察することは困難です。そこで、分子の構造を調べるために科学者が用いるのが「核磁気共鳴(NMR)」と呼ばれる、磁気の力を使った技術です。当日は、実際の研究に使用されている核磁気共鳴装置を操作してスペクトルを測定し、分子の構造を調べる方法を体験します!       

 

4)生体防御の最前線~タンパク質の作る不思議な世界。模型を作ってのぞいてみよう!~

生物の生命活動には、タンパク質が必要不可欠です。タンパク質がそれぞれの「機能」を発揮するには、必ず決まった「構造」をとらなければなりません。私たちのグループでは、タンパク質の「機能」と「構造」との関係を研究しています。当日は、分子模型を使ってタンパク質の詳細な構造に迫ります。さらに、生体防御タンパク質「リゾチーム」を使って、細菌に対して作用する様子を観察します。タンパク質の「機能」と「構造」を、その目で確かめましょう!

 

5)がんの悪さを直接見てみよう

がんは、現在日本をはじめ世界各国で死因の一位となっている病気です。そのため、がんの研究は世界中で盛んにおこなわれています。がんの原因となるものは「がん細胞」であるため、がん細胞の性質を調べることががん研究にとって非常に重要です。このプログラムでは、がん細胞の性質、特に「悪さ」を直接見てもらいます。がん研究の最先端をぜひ体験してください。

 

6)DNA鑑定をしてみよう

DNA鑑定は犯人特定の有力な方法の一つとして広く用いられています。本コースでは、私たちが警察で、事件現場に残されたDNAと、数名の容疑者から採取したDNAから、犯人を特定するという設定のもとで実験を行い、DNAが現代社会にどのように利用されているのかを学びます。

 

7)体験☆負けるな小腸・頑張れ免疫!

小腸のパネト細胞 (Paneth cell)は、バイ菌がやってくるとαディフェンシンを分泌して自然免疫の作用ですばやく殺菌します。実験を通して、からだの中で働いている「免疫」を体験しましょう。
① 免疫の現場、小腸の組織を見てみよう!
② 免疫の瞬間、αディフェンシンが細菌を秒殺するのを目撃しよう!
③ 免疫のエース、パネト細胞の顆粒を光らせてみよう!小腸を色素で染色、位相差顕微鏡で観察し、さらに、パネト細胞の顆粒にあるαディフェンシンを蛍光免疫染色して、共焦点レーザー顕微鏡で詳しく観察しよう。

 

8)細胞の元気さの指標・ミトコンドリアの動きを見てみよう

※高校生物で購入した「図説」「図録」を持っていれば持参してください。

細胞は生きています。ですが、生きていくためにはさまざまなエネルギーを取り込んだり(=食べる)、取り込むだけでは足りないものを細胞の中で合成する必要があります.この足りないものを合成する場として主に知られている細胞内小器官が「ミトコンドリア」です。ミトコンドリアを光学顕微鏡で観察すると、図説に載っているようなものとはまったく異なった見え方をします。また,生きている細胞ではミトコンドリアはかなり活発に動いていることがわかります.この動きは、細胞にダメージを与えると低下することから、「細胞の元気さの指標」を表すと考えられます。我々の体の活性にとても重要なミトコンドリアを、最新の蛍光顕微鏡を実際に使って観察してみましょう。