理学部生物科学科(高分子機能学)では、キャリアパス教育の一環として、学部2年生を対象にした学科イベント「一貫短縮コース生は語る」を2024年11月14日に開催しました。「MC-DC一貫短縮修了コース」※の大学院生から研究生活や進学経験について聞くことで、進路の一つとして博士後期課程進学を考えてもらうことが目的です。
※博士前期(修士)課程から後期課程まで一貫して研究活動に専念し、優れた研究業績を挙げることで博士号取得までの期間を短縮できるコース。生命科学院の生命科学専攻(生命融合科学コース)およびソフトマター専攻で実施。
話題提供したのは、生命科学院 生命科学専攻 生命融合科学コース 博士後期課程1年の福士 航生(ふくし こうき)さんです。福士さんは理学部生物科学科(高分子機能学)を卒業後、生命科学院の博士前期(修士)課程を1年半で修了し、2024年10月から後期課程に進学しています。
凍らせない物質を研究
海水温がマイナスになる南極海でも、魚は凍らずに生きています。これは、魚が体内に特別な物質を持っており、それが低温下での凍結を防ぐためです。この物質の一つが「不凍活性物質」であり、これが氷の結晶に結合することで、氷の成長を抑えます。通常、低温にさらされていると、体の中で氷の結晶が大きくなり、血管や細胞を壊してしまいますが「不凍活性物質」があることで、氷の結晶は小さいまま維持されます。
不凍活性物質は、食品や臓器保存などの冷凍技術に使える可能性があります。しかし、どのように氷と結合しているのか、どのような構造が凍らせないために重要なのか、分かっていません。解明するには、いろいろなサンプル物質を合成して評価する必要があります。現在は、一度に多くのサンプルを評価できる方法を開発しています。
研究のプロセスが楽しい
博士課程に進学した理由は、研究が楽しかったからです。実験で試行錯誤し、成功したら学会や論文で発表する。そんな研究のプロセスが自分には合っていました。環境が良かったことも大きいです。研究室(先端生体制御科学研究室)は居心地がよく、指導教員である比能洋教授とも気軽に研究の話ができます。
短縮コースもおすすめ
通常、後期課程の修了には3年を要しますが、一貫短縮修了コースを利用することで、約1年短縮することが可能性です。このコースには「大学院在籍中に研究室を変更しない」という条件が含まれています。そのため、研究室に配属された後で進学を検討することをおすすめします。