共同研究の価値と挑戦の大切さを学んだDuke大学での研究留学

松田昂大|生命科学専攻・博士後期課程・1年生(当時)
2016年2月1日~2016年3月28日/アメリカ・ノースカロライナ州

アメリカのDuke大学の研究室へ、単身で二ヶ月間の研究留学に行きました。
滞在先は、私が強い関心を持っていた「メカノケミストリー」という分野で、論文数・レベル共に世界を先導するCraigグループです。渡米の目標は、北海道大学で取り組んでいる高分子ゲルの研究をさらに発展させることでした。

研究室のあるFrench Family Science Center (Duke University)

留学中の研究は、ほとんど経験していない有機合成が中心でした。慣れない実験操作を英語で教わり、常に英語で議論することの繰り返しの研究生活は、大変なことも多くありました。しかし、結果的には必要な有機合成スキルを身に付け、「高分子ゲルの研究をさらに発展させる」という目標に対しても一定の成果を挙げることが出来ました。さらに、別の共同研究を発足させるなど、継続的な関係も作ることが出来ました。

Craigグループの研究仲間と(筆者は後列右端)

今回の留学で強く感じたのは、共同研究の価値です。これまで私は、近年の国際共著論文が増えている潮流に「異分野の著名な先生同士が共同研究しただけで、有名雑誌に論文が載ってしまうのでは」と、少々疑問を感じていました。しかし、留学中に実際に異分野の共同研究を行うことで、「異分野の最先端の研究同士を組み合わせることで、自分や相手の研究領域や科学技術そのものの進歩を加速させうる」ことを肌で感じることができました。自分の研究の強みがあるからこそ、対等に議論することができ、互いに刺激し合い、共同研究の価値を実感できました。

大学内にたくさんいたリス

出発前は、自分の英語力にかなり不安を抱いていました。実際に留学中は、相手に何度も聞き返したり、伝えたい表現が出てこなかったりすることが頻繁にありました。しかし、英語を話さなければ何も進まない環境の中でコミュニケーションを取り続けることによって、日に日に英会話力が向上しました。単純な語学スキル以上に、臆せず話せるようになったのが良かったと思います。

たった二ヶ月間とはいえ、海外に生活拠点を置いて自炊をしながらの一人暮らし生活は、海外旅行とは全く違う感覚でした。海外での生活にも不安がありましたが、生活に慣れてくると、朝には趣味のランニング、週末には街中の散策、最後の週末には夜行バスに飛び乗ってのニューヨーク観光も楽しめ、海外での「日常生活」を送ることができました。
行ってしまえば大変なことも含めて楽しめ、貴重な経験ばかりだったので、思い切って研究留学に挑戦して本当に良かったです。

ニューヨーク観光中、メトロポリタン美術館前にて