「脂肪細胞は自身の周囲の硬さを離れた細胞に伝える」硬さ情報タンパク質による脂肪組織の炎症誘導機構の解明

東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科生体情報継承学分野の楠山譲二テニュアトラック准教授の研究グループは、北海道大学大学院先端生命科学研究院の芳賀永教授ら、東北大学との共同研究で、脂肪組織は周囲の硬さを感知し、CXCL13と呼ばれるタンパク質を分泌することで、周囲のマクロファージや血管内皮細胞に硬さ情報を伝えていることを明らかにしました。この研究は文部科学省科学研究費補助金、日本医療研究開発機構革新的先端研究開発支援事業、神澤医学研究振興財団、上原記念生命科学財団、中富健康科学振興財団、ロッテ財団、持田記念医学薬学振興財団、かなえ医薬振興財団の支援のもとでおこなわれたもので、その研究成果は、国際科学誌Journal of Lipid Research(ジャーナル・オブ・リピド・リサーチ)に掲載され、2024年9月30日に出版されます。

【本研究成果のポイント】
  • 脂肪細胞が周囲の硬さを感知し、周りの免疫細胞と血管に情報として伝えることを解明しました。
  • 硬さを伝えるタンパク質を同定したことで、肥満時における硬さと炎症の繋がりの理解に進む可能性があります。
  • 肥満や糖尿病における脂肪組織の硬さをターゲットとした新規治療法開発への応用が期待できます。
 
図 CXCL13は脂肪細胞の感じた細胞外マトリックスの硬さ情報を他の細胞に伝達する(出典:東京医科歯科大学プレスリリース)

プレスリリース:「脂肪細胞は自身の周囲の硬さを離れた細胞に伝える」―硬さ情報タンパク質による脂肪組織の炎症誘導機構の解明―(先端生命科学研究院 教授 芳賀 永)