研究院概要

生命科学の発展は、細胞内の生化学や分子生物学における生体分子の構造や機能の研究だけにとどまらず、多彩な分子・高分子の機能や動きをリアルタイムで観測分析する研究や、情報ネットワークとしての研究、さらには生命現象から発想した新規材料の研究など多彩なものです。またこれらの細分化し高度化した研究をもとに再度統合して「生命とはなにか?」という根源的なテーマに関する研究も必須のものです。当然、これらの研究はわたしたちの生活を取り巻く持続可能な未来社会への応用展開につながります。融合科学であるからこそ、新しい医学や薬学はもとより、生活の質の向上のために欠かせない人と機械や環境とのインタフェースに関連した材料やシステム開発等の新しい生命科学の展開があります。

このような生命科学の研究において世界をリードしていくためには、生物学、化学、物理学等の既存分野を越えた分野融合型の新しい科学として研究を推進することが必要です。同時に、これは、学際的な考え方のできる若手研究者を育成することでもあります。これらのために、先端生命科学研究院は、様々な分野の研究者が集まった分野融合型の研究教育組織として設置されました。本研究院の研究教育活動は、本学の中期目標・中期計画のもとに中長期的観点から進めます。

教育: 先端生命科学研究院は、以下の大学院教育と学部教育のディレクター機能を担います。

研究: 先端生命科学研究院は2部門からなる分野融合型の研究教育組織(組織・スタッフ)により、基礎研究や研究プロジェクトを推進するための共用施設・設備など研究環境にも配慮しています。研究の推進方法にも基礎ステージから展開ステージに移ったテーマに関しては、本研究院付属「次世代物質生命科学研究センター」(旧・次世代ポストゲノム研究センター)を中心に積極的に企業等との産学連携をすすめ、外部資金を活用した研究の加速を行います。センターの産学連携・国際連携・先端基盤の各ユニット機能をいかすことで、外部資金を活用した研究力強化の加速を行います。

教員採用: 本学の中長期的観点としての北大テニュアトラック制度に加え、優れた若手研究者が生き生きと活躍できる研究環境の好循環を目指し、部局テニュアトラック多様な財源による教員雇用など部局独自の人事システム改革を推進しています。 

先端融合科学研究部門

私たちは、生命を「システム」として取り上げ、構成する組織、細胞、遺伝子、分子等の要素が、 どのようにして階層をこえ統合して高次の機能を示すようになるかを研究しています。この目的のために、 タンパク質やその複合体などの生体機能分子の構造と機能の相関を明らかにします。 生体内における様々な生体機能分子の相互作用が、生体組織の再構築や発生といった生命の階層構造形成のメカニズムに与える影響を明らかにします。 生命の階層構造形成過程を制御するための新規生体機能材料を開発することで、新しい再生医療の方法論を確立します。

研究分野:X線構造生物学・生命分子科学・ソフト&ウェットマターの科学・組織構築科学・細胞ダイナミクス科学・新薬探索研究・化学生物学 (研究分野一覧はこちら

生命機能科学研究部門

生体組織の形態形成や胚発生などの生命過程は、ゲノム情報を基づく生体機能分子の分子基盤や、 生体情報分子の情報発現や伝達機構によって制御されています。私たちは、様々な生体機能分子や生体情報分子が関与している複雑な生体制御機構について、 情報科学の方法論を用いて系統的に調べ上げ、分析科学の手法を用いて得られた実験結果と照らし合わせることで、 複雑な生命現象を理解することに取り組んでおります。一方で、複雑な生命過程を明らかにすることは、 私たちの体が有する自然免疫機構を明らかにすることや、新しい薬の有効なターゲットを見つける点においても重要です。 また、私たちは生きた細胞や組織中の、生体機能分子や生体情報分子の相互作用を調べるための方法論を確立する試みにも積極的に取り組んでおります。

研究分野:細胞生物科学・分子細胞生物学・生物情報解析科学研究・細胞機能科学・糖鎖生物学・発生工学 (研究分野一覧はこちら

自己点検評価(2016年度~2019年度)

自己点検評価(2016年度~2019年度)