洋ヒノキ花粉症と果実アレルギーを引き起こすペプチドファミリーをはじめて同定
~新たな花粉症治療薬の開発にも期待~
研究成果のポイント
・西洋ヒノキ花粉症と果実による口腔アレルギー症候群の共通原因であるペプチドの同定に成功。
・植物界に広く存在する防御タンパク質ファミリーが花粉症の原因となることを解明。
・新規のアレルギー診断技術やアレルギー治療に対する新薬開発の大きな進展に期待。
北海道大学大学院先端生命科学研究院・国際連携研究教育局の相沢智康准教授は、フランスパスツール研究所のPascal Poncet博士を中心とした国際共同グループでの研究において、欧州で問題となっている西洋ヒノキ花粉症とモモや柑橘類に対する食物アレルギーの共通の原因物質が、植物界に広く存在する防御ペプチド(タンパク質)ファミリーであることを世界で初めて解明しました。さらなる研究の進展に必要となる原因ペプチドの人工的な合成にも成功しており、今後、他の植物アレルギー原因物質の同定、新規のアレルギー診断技術や治療薬の開発などへの応用も大きく期待されます。
本研究の一部は、北海道大学国際連携研究教育局ソフトマターグローバルステーション(GI-CoRE GSS)、文部科学省・科学技術振興機構による支援プログラム「センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム・北海道大学COI『食と健康の達人』拠点」の研究開発支援を受けて行われたもので、研究成果は、米国中部時間2017年8月3日(木)に米国アレルギー学会のJournal of Allergy and Clinical Immunology (JACI)オンライン版に掲載されました。
研究論文名:A new allergen family involved in pollen food associated syndrome: snakin/gibberellin regulated
(花粉食物アレルギー症候群の新規アレルゲンファミリー)
Working in collaboration with teams from the Czech Republic and Japan, researchers from the Institut Pasteur, AP-HP and AP-HM have identified, for the first time, the likely origin of the cross-reactivity between cypress pollen, peaches and citrus fruits. Their work has shown that these sources contain allergens belonging to a new family of proteins involved in pollen food associated syndrome. This discovery, which was published in JACI on August 3rd, paves the way for the development of novel allergy diagnostic tests.
准教授・相沢智康
研究成果の詳細が北大ホームページプレスリリース(研究発表)に掲載されました(2017年8月23日付)