北海道大学大学院医学研究院機能再生医学講座整形外科学教室の松居祐樹医員、同大学大学院医学研究院運動器先端医学分野の角家健特任准教授らの研究グループが、M2マクロファージの軸索再生効果にはurokinase plasminogen activator (uPA)が関与していることを確認し、Cellular and Molecular Life Sciences誌において報告しました。
マクロファージの亜型の一つであるM2マクロファージが、組織修復・再生に関与していることが知られているが、M2マクロファージが直接的に軸索再生効果を有するか不明でした。本研究では、IL4刺激により作成したM2マクロファージが軸索に直接作用して軸索再生を促進する事、また、損傷した末梢神経に移植すると、損傷後の機能回復を促進させることを明らかにした。また、その分子機序として、M2マクロファージが分泌するuPAが軸索再生効果を持つこと、損傷した軸索がuPA の受容体であるuPARの発現を上昇させて、uPAへの感受性を高めていることを明らかにした。これらの結果は、マクロファージによる軸索再生の細胞・分子メカニズムを明らかにし、末梢神経損傷に対する新しい治療法の基礎となるものである。