生命研究を治療につなげたい留学生世界へ

生物科学科(高分子機能学)を卒業した留学生が、研究者として世界に羽ばたきます!

遺伝子病制御研究所の韓(ハン)ナヌミ助教は、理学部生物科学科(高分子機能学)の卒業生です。修士・博士課程を同研究所の免疫生物分野で修了し、助教として活躍してきました。2023年5月からは、アメリカ・ペンシルベニア大学に移って研究を続けます。

渡米直前の韓助教に、学科での思い出、現在の研究とこれからについて話を聞きました。

韓 ナヌミ 助教

生物の本がおもしろくて日本へ

出身は韓国、ソウル近くの町です。雪はそれほど降りませんが、冬はとても寒いです。札幌は、もっと北にあるのに暖かい印象でした。

私、高校には通わなかったんですよ。試験で卒業認定が得られるので。自分がやりたいことを見つけたくて、ボランティア活動や旅行をしていました。親も初めは驚いていましたが、きちんと理由を説明した後は力になってくれました。

生物や生命現象にはもともと興味がありました。本を読むだけでは物足りず、大学で勉強したくなりました。日本への留学を考えたのは、日本の中高生向けに書かれた本がおもしろかったからです。高分子機能学は、細胞や生物を扱うだけでなく、タンパク質などの基礎的なことから、治療などの応用的なことまで触れられるので、魅力を感じました。

顕微鏡で細胞を観察する

実は苦労した学部時代

留学して、言葉などで不便を感じることは、ほとんどありませんでした。周りの人がとても協力的で、「何か困ったことがあったら言ってね」と声をかけてくれたからだと思います。

でも学部時代は、自力で課題をやり遂げられなかったんです。チューターとして雇用された学科の先輩から、課題の書き方や問題の解き方を教えてもらいました。留年せずに卒業できたのは、この個人レッスンのおかげだと思います。

研究の魅力は達成感

修士課程は医学院に進学しました。もっと腫瘍を勉強し、応用範囲を広げたかったからです。

研究は腫瘍免疫をテーマにしてきました。腫瘍の治療が効かない理由を、免役細胞から分析しています。仕組みを知ることと、治療に応用することの、両方を目指しています。

初めから研究者になろうと考えていたわけではありません。実験して、結果が出て、そこから考察するのがおもしろくて、続けていたら研究者になっていました。まだ誰も調べていないことを自分から探って行き、いいデータが出ると達成感があります。特に、予想が当たったときは気持ちがいいですね!

染色したマウス細胞の顕微鏡画像

北大から世界へ

渡米後は、マクロファージという免疫細胞と腫瘍免疫の関係について研究します。マクロファージは学部のときからずっと興味を持っている細胞なので、これからが楽しみです。将来は、腫瘍以外の病気、例えばアレルギーや炎症などと、免疫の関係についても研究したいと思っています。

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