初めての海外で感じた日本人としての誇りと責任

田辺 尚貴
生命科学院・博士前期課程・1年生(当時)
2016年11月1日~2016年12月22日
スウェーデン・ストックホルム

スウェーデン、ストックホルムに50日間滞在し、世界有数の医科大学であるカロリンスカ研究所にて授業に参加し、その後研究活動を行って来ました。

まず、11月7日~18日にカロリンス研究所の大学院授業であるFunctional Fluorescence Microscopy Imaging in biomedical research (fFMIコース)に参加しました。fFMIコースでは蛍光顕微鏡を用いた画像取得および解析方法を学ぶことを目的に、基礎的な知識を学ぶ座学と実践的な実験手法を体験する実習の2部構成による講義が展開されました。参加者はスウェーデンや中国をはじめ様々な国籍の博士課程の学生が10名ほどでした。実習形式の授業では、基本的な蛍光画像の取得方法から、発展的な細胞内タンパク質の動態解析法まで蛍光顕微鏡に関する網羅的な実験技術を学ぶことが出来ました。海外の学生は積極的で、質問や意見交換も活発でした。英語話せないし……と黙っていると、他の学生とどんどん差が開いてしまいます。海外留学でたくさん成果を上げるためには、間違いを恐れずに発言していくことが何より大切だと感じました。

講師として参加した北村助教による講義の様子

授業期間後は、滞在先であるVladana教授の研究室で自らの研究に取り組みました。

滞在先のVladana研究室のメンバーと(筆者は右から3番目)

また、滞在期間中、fFMIコースの座学講義の講師として参加されていたスウェーデン王立工科大学のJerker教授の研究室を訪れました。訪問のお願いをしたところ快く承諾してくださり、Jerker教授の研究グループのミーティングにて私の研究に関する発表とディスカッションの時間まで設けて頂きました。研究室では、蛍光顕微鏡を用いた測定と解析を専門に行っていて、これまでの研究成果や自家製の顕微鏡設備などを細かく紹介して下さいました。研究室メンバーとディスカッションを行う中で、私の研究に関するアドバイスや指摘をいただくことができました。

Jerker教授との記念写真

さらに、12月7日にはカロリンスカ研究所内で行われた2016年のノーベル医学・生理学賞を受賞した大隅先生の受賞記念講演を聴講しました。私の研究テーマはオートファジーに関連があるので、オートファジー研究の第一人者である大隅先生の講演を生で聴くことができたことは、大変貴重な体験になりました。毎年のように日本人がノーベル賞を受賞することはとても誇らしいことですが、今回記念講演に参加し、私自身も日本人研究者の一人として自覚をもって研究活動に取り組まなければ、と改めて身が引き締まる思いがしました。

 

 

講演後の記念撮影の様子

私にとって初めての海外経験は毎日が新しい発見と驚きに溢れるものでした。同時にもっと積極的に英語を話して色々なことに挑戦していれば、と反省することもありました。科学研究分野のみならず、様々な分野で世界をリードする日本であり続けるために、日本人の一人として、世界中の優秀な学生に負けないようにアグレッシブに挑戦し続けていきたいと思っています。