大浦真|生命科学専攻・博士前期課程・1年生(当時)
2015年10月26日~2016年1月20日/スウェーデン
3カ月間の滞在中の始めの2週間はカロリンスカ研究所で顕微鏡に関する大学院コースに参加し、残りの期間は研究インターンシップを行いました。
大学院コースは、すべて英語で、受講生はカロリンスカ研究所の各研究室に所属しているPh.Dの学生やPDが中心で、修士の学生は私一人でした。講義の内容は、蛍光顕微鏡の基礎的な部分から蛍光顕微鏡の装置の概要、さまざまな蛍光顕微鏡法について話され、このすべてが前日に宿題として課される予習(論文および参考文献を読み、レポートを提出)をしていることを前提としていて、内容的には修士の私には高度でした。
実習は共焦点顕微鏡を用いて基礎的な蛍光イメージング技術やFCS(蛍光相関分光法)解析を中心に学び、他の研究グループとのコラボレーションで全反射照明蛍光顕微鏡、多光子励起蛍光顕微鏡および、超解像蛍光顕微鏡の実習がありました。このようなコラボレーションは北大で毎年開かれている同様のワークショップでも取り入れてもよいと思いました。
講義においては各種の超解像の理論や利点、欠点に深く踏み込んだ議論がされていて非常に有意義でした。全体を通して講義に参加する学生のモチベーションは高く、講義中も頻繁に質問が飛んでいました。また、学生の興味に合わせて講義や実習の内容を大きく変化させるなど、私にとっては新しい体験でした。
基礎的な内容のコースであっても、関連する論文やテキストが配られ、深く学びたい学生は自分で学ぶことができるシステムになっていて、技術の習得においては大きなモチベーションになるよう工夫されているのが印象に残りました。
2週間のコースの最終日に全員の前での発表があり、他の受講生がわかりにくい現象にうまいたとえ、わかりやすい模式図を用いたり、自分の研究で得られた画像データをコース中に紹介された技術を用いて解析していたりと、それぞれが講義内容を噛み砕いて発表していて、とても学ぶことが多くありました。
大学院のコースが終わった後、研究インターンシップをコースのオーガナイザーの研究室に行き、私の研究に関係する顕微鏡の使い方や、分析方法を学びました。そこで、基本的な測定精度に関する議論ができたことが、私の研究を推進するためにとても貴重なものとなりました。
留学する前に抱いていた言葉の壁や生活の違い、単位や大学の体制のことなどは、行ってみると予想よりも少なく、快適に過ごすことができました。また、生命科学専攻がクオーター制をとっているため、年度の途中でも留学に行きやすかったので、後輩にも留学を勧めたいと思いました。