DC語る:「おもしろさ」を原動力に

理学部生物科学科(高分子機能学)では、キャリアパス教育の一環として、3年生を対象にした学科イベント「DCは語る」(DC:Doctoral Course=博士課程)を定期的に開催しています。博士課程の学生が研究生活や進学経験について語ることで、進路の一つとして博士課程進学を考えてもらうことが目的です。2022年5月10日は、生命科学院 生命融合科学コース 博士1年の吉澤 晃弥(よしざわ こうや)さんが話しました。

研究室のある次世代物質生命科学研究センターの前で

吉澤さんは、理学部生物科学科(高分子機能学)を卒業後、生命科学院 生命融合科学コースへ進学しました。細胞装置学研究室(上原研究室)に所属し、倍数性(細胞1個が持っている染色体のセットの数)と細胞分裂異常の関係性について研究しています。

研究がおもしろい!

学部生の頃からおもしろいと思えることを仕事にしたいと考えていました。学部は高分子機能学に進学し、講義や実習を通して、「研究職」っておもしろそう、打ち込める仕事になるかも…と感じ博士進学を選びました。
研究は疑問を持つことからスタートします。そして実験などを通して謎を解明し、誰も知らない新しいことを見つけていくおもしろさがあります。自分が研究分野の先頭にいて、開拓していると実感できることが研究の醍醐味だと思います。

蛍光顕微鏡を使って細胞を観察します

僕の専門は細胞生物学です。いまは、がんの新しい治療法にも繋がる、「染色体数の変化によって細胞分裂の異常が引き起こされる原因の解明」というテーマで、試薬処理や遺伝子操作をした細胞を培養して観察する実験に取り組んでいます。自分の手で生物のしくみを解き明かしていくことにわくわくします。

蛍光顕微鏡で観察した倍数性の異なるヒト細胞の細胞分裂の様子

 

研究室を選ぶときのアドバイス

まず、各研究室のホームページで情報収集することからはじめてはいかがでしょう。さらに、なるべく多くの研究室を実際に見学したほうがいいです。そして先輩たちにたくさん質問してみて下さい。研究室との相性は、自分で実際に見て・聞いてみないと分からないことが多いです。ラボの雰囲気や、どういう方針で研究室が運営されているのか、分野や先生によって大きく異なるので、自分との相性を大事に選んでください。
僕の場合は、最初からやりたいことがあったわけではなく「基礎研究をやりたい」と思っていました。上原研に入り、様々な勉強をしていく中で、細胞分裂を制御するしくみを調べるというテーマが非常におもしろく、毎日実験を続けています。
一方、最初からやりたいことを探さなければいけないとは思いません。所属することになった研究室で勉強しながら、研究の面白さを実感できたら、続けてみてもいいかもしれません。

博士課程進学に迷ったら

研究活動が誰にでも合うとは思いません。民間で能力を発揮できる人も、研究機関がフィットする人もいるでしょう。自分の適性を分析してみることも重要です。もし少しでも博士課程に興味があるのなら、チャレンジしてみてください。最近は多様な経済的支援を受けられるので、進学の際の大きな助けになるはずです。

将来は、海外でも研究の経験を積み、大学のような研究機関や企業の研究所などで研究を続け、細胞分裂をはじめとした生命のしくみを解明していきたいです。