教育分野

ソフトマター専攻の教育分野

教育分野の概要

生命科学分野は今日、物質科学や情報科学の学際領域との融合研究が進展し、次世代型生命科学へのイノベーションがますます期待されている。ソフトマターはその代表的先端基盤材料で、産業界、医療、環境・エネルギー分野など広範な分野から注目されている。生命科学院ソフトマター専攻(修士課程・博士後期課程)では、ソフトマターの科学研究に関連する基礎知識(物理学、化学、生物学)とその応用科学(材料科学、生命分子科学、生体物理学、医化学、機能学)を総合的に学べる体系的教育を提供し、ソフトマター研究で世界的にリードできる国際的な人材を養成する。

ソフトマター材料科学 Soft Matter Materials Science

      

本分野は、生物に見られる分子レベルから個体レベルに至る高度な階層構造及びその機能発現原理をヒントにすることで、柔軟かつダイナミックな階層構造を有する新規なソフトマターを創製し、従来に無い機能を発見できる人材育成を目指す。さらに、医療分野をはじめとする異分野と積極的に連携し、高機能なソフトマターを速やかにさまざまな応用へ展開する研究者を育成する。

ソフトマター生命分子科学 Biomolecular Soft Matter

 

蛋白質やペプチド、DNAといった生体高分子はソフトマターの代表である。例えば蛋白質のような高分子鎖の柔らかい構造変化、フォールディングやダイナミクスは、その機能と密接に結びついており、この解析は天然のソフトマターの理解のみならず、新しいソフトマターの創成にも大きく寄与することが期待される。本教育分野では、分子構造やダイナミクスの研究に必須であるNMR分光法を中心とした各種分光法を用いた生体高分子の解析や、分子デザインを専門とする研究者の養成を行う。

ソフトマター生体物理学 Soft Matter Biophysics

 

細胞、組織、個体スケールにおける運動、増殖、形態形成といった生命現象は、生物学のみならず、生化学、物理学、数学からの理解が不可欠である。ソフトマター生体物理学分野では、物理学、数学を駆使することにより多様な生命現象の背後にある普遍的原理を解明するアプローチの習得を目指す。具体的には、細胞集団の協調的な運動および3次元形態形成、アメーバや繊毛虫の動物行動学、草本樹木の力学的機能およびネットワーク形成などを研究対象とし、生物物理学、数理生物学分野といった融合科学領域における次世代の研究者を育成する。

ソフトマター医科学 Soft Matter Medical Science

 

ソフトマター(高分子合成ハイドロゲル)を臨床応用するために必要な基礎的・臨床的知識、ならびに材料の生理活性や生体反応を解析するための生化学・分子細胞生物学・病理学的研究手法などを幅広く習得し、材料科学と医学を融合する横断的な思考・研究ができる人材を育成する。また、臨床応用への橋渡しとしての位置づけである動物実験・臨床研究を行うことで、ソフトマターマテリアル臨床実用化への最終的なプロセスを担う。

ソフトマター機能学 Functional Soft Matter (連携分野:物質・材料研究機構)

光・電子・電気的性質を保持した分子液体やイオン液体、高分子ゲルといった究極に柔らかい有機・高分子材料の合成、ソフト材料のマルチスケールな物性解析技術の習得の他、センサやアクチュエータから細胞足場材料の設計・応用まで一貫した取組が人材養成の主方針となる。また、本分野は物質・材料研究機構を実験実施場所とするため、ソフトマターと異種材料(金属、セラミクス、医療材料)やナノ解析技術、インフォマティクスなどとの異分野融合的な取組も特徴となる。