大浅 翔|生命科学専攻・博士後期課程・2年生(当時)
2014年12月6日~2015年3月3日/スウェーデン
留学のきっかけは、海外の研究者と議論する環境に身を置き、英語のスキルを向上させ、研究について情報交換や議論できるようになりたいと考えたからです。
スウェーデンに到着するとすぐに、その年のノーベル賞受賞者のレクチャーをストックホルム大学で聞くことができました。物理学賞、化学賞を受賞した6人それぞれが、研究をスタートさせた動機から受賞に至るまでの実験やデータについて語り、最後に若い研究者へのメッセージを残してくれました。留学先で研究を始めようとしていた私は、このメッセージに励まされ、ここでの研究を一歩一歩がんばろうと思いました。
留学先の研究室の朝は早く、朝8時には実験が始まっていました。その分、みんな18時頃には帰ってしまい、私だけが20時まで実験していて、最後に研究室を出ることが珍しくありませんでした。とにかくメンバーと議論することが多く、「面白いデータが取れた!」と言っては議論が始まりました。私も日本での研究を紹介した際にグループリーダーからたくさんコメントをもらうことができました。
実験では、APD-array FCS systemというおよそ1000点の測定点において同時に蛍光相関分光法が行える手法を用いて、細胞内のグルココルチコイド受容体の動きや、GPCRの細胞膜上での動きを観察しました。このAPD-array FCS のプロジェクトに参加したことで、この研究について共著の共同研究者となり、海外に意見交換ができる研究者とのコネクションをつくることができました。
カロリンスカ研究所に滞在中に、スウェーデン王立工科大学 (KTH: Kungliga Tekniska Högskolan)にあるProf. Jerker Widengren研究室を訪問しました。この研究室も蛍光相関分光法を使っていて、ほぼすべての顕微鏡がホームメイドでした。ここでは超解像顕微鏡の一つであるSTED顕微鏡や構築途中の顕微鏡を見ることができました。2014年のノーベル化学賞を超高解像度の蛍光顕微鏡の開発者であるStefan Hellが取ったこともあり、超解像顕微鏡に関連するセミナーのポスターが多数貼られていたことが印象的でした。研究室のシニア研究員からPhDの学生達の研究内容について紹介してもらい、細胞に応用できるかどうかの観点で質問できたことは今後の自分の研究にとってとても有意義でした。