研究という営みを語り合うために


柴垣 光希
ソフトマター専攻・博士後期課程・1年
蛋白質科学研究室

 

先端生命科学研究院・生命科学院では所属の大学院生に対する「スキルアップ支援」を実施しています。

対象は、生命科学専攻(生命融合科学コース)またはソフトマター専攻に所属する、「MC-DC一貫短縮修了コース(※)」の学生、及び博士課程への進学を希望する優秀な学生です。学生の研究能力向上のため、学会参加などへの支援を行います。
(※)優秀な学生を対象に、標準修業年限(修士課程2年、博士後期課程3年)を短縮(修士課程1-1.5年、博士後期課程2-2.5年)しての博士学位の取得を目指すコース

 

支援を受けた学生によるレポートを紹介します。

研究という営みを語り合うために

私は、「抗菌ペプチド」という生体分子を研究しています。抗菌ペプチドは1960-80年頃に、カエルの皮膚に存在する、強力な殺菌物質として発見されました。抗生物質が効かない菌にも殺菌効果を持つことから、次世代の抗生物質の代替医薬品候補となりました。その後、ヒトを含むほぼ全ての生物が有する生体防御分子であることが分かり、体を病原体から守る重要な免疫分子として研究が進められてきました。さらに近年、この抗菌ペプチドは脳や腸内にも存在することが報告され、脳内免疫や腸内細菌叢との関わりなど、その生体内での役割について盛んに研究が進められています。

このように研究の歴史を振り返ると、それぞれの時勢の中で研究者たちが紡いできた発見が蓄積して常識となり、現代社会で活用されていることが実感できます。私は抗菌ペプチドの研究をしているうち、「脳や腸の研究者から見て、抗菌ペプチドはどのような登場人物として認識されているのか?」を知りたくなりました。異なる角度から自分の研究対象を見つめることで、今まで自分には考えつかなかった側面が見えてくるはずです。そこで、該当分野の歴史や常識、流行、研究に造詣を深めるため、スキルアップ支援を利用して以下の書籍を購入し、勉強しています。

「常識」を知るための専門書
「歴史と流行」を知るための読み物
「研究」を知るための雑誌

関連分野の知識を蓄えておくことは、学会等で他分野の研究者との議論を弾ませることに繋がります。皆さんはどんな分野に興味がありますか?

生物物理学会の看板にて、指導教員の相沢 智康先生と記念撮影。
生物物理学会の閉会式。参加者の数だけ面白い研究があった。