抗菌ペプチドを用いた「腸内細菌叢の異常」改善に世界ではじめて成功

抗菌ペプチドを用いた「腸内細菌叢の異常」の改善に世界ではじめて成功

先端生命科学研究院 自然免疫研究室・蛋白質科学研究室が参加した共同研究の成果がJournal of Experimental Medicine(実験医学に関する国際科学誌) に発表されました。

公表日:米国東部時間 2017年10月24 日(火)(オンライン公開)

R-Spondin1 と呼ばれる腸の粘膜の細胞を増殖させるタンパク質が,腸内で高い殺菌作用をもつディフェンシン(抗菌ペプチド)を分泌するパネト細胞を増殖させることを発見しました。 R-Spondin1の投与によって,骨髄移植後の抗菌ペプチド量の低下を改善し,腸内細菌叢の異常を予防することができました。腸内細菌叢の異常の予防効果は,抗菌ペプチドである -ディフェンシンの経口投与によっても発揮されました。R-Spondin1 や -ディフェンシン投与による腸内細菌叢の異常の治療は,腸内細菌叢の異常が関連する様々な疾患の新しい治療アプローチとして期待されます。

研究論文名:R-Spondin1 expands Paneth cells and prevents dysbiosis induced by graft-versus-host disease(R-Spondin1 はパネト細胞を増殖させ,移植片対宿主病による腸内細菌叢の異常を予防する)

横井友樹(生命科学院)、准教授・中村公則、教授・綾部時芳、准教授・相沢智康

研究成果の詳細が北大ホームページプレスリリース(研究発表)に掲載されました(2017年10月25日付)