李 响(リ シャン)准教授(先端生命科学研究院)が、令和5年度科学技術分野の文部科学大臣表彰「若手科学者賞」を受賞しました!
若手科学者賞は、今までにないような独創的な研究を行った若手(40才未満)の研究者に贈られます。李准教授の研究業績は「パーコレーション理論に基づく超均一ゲル開発に関する研究」です。
ゼリー状の「ゲル」が壊れやすいのは、中の構造がぐちゃぐちゃだからです。しかし、かかった力を支えられるような、きれいな構造をゲル中に作るのは、難しいと考えられてきました。
李准教授は、ゲルの合成に、昔からある「パーコレーション理論」を応用しました。パーコレーション理論とは、ものがどのようにくっついて広がるかの理論です。
パーコレーション理論では、一つ一つのものを入れる場所として、格子を考えます。格子に、ゲルの材料となる高分子を入れていきます。全ての格子を埋めてから、高分子をつなぐ反応を始めます。そうすると、高分子の配置は崩れずに、きれいな構造を持つゲルができました。
現象の面白さにひかれて始めた基礎研究でしたが、今後の応用範囲は広いと李准教授は考えています。高性能のフィルター、光をよく通す光ファイバー、強度を持った材料などに使えると考えられます。また、ゲルの仲間であるゴムや樹脂へも適用させるために、引き続き研究を続けているそうです。
受賞コメント
「この度は文部科学大臣表彰若手科学者賞を頂き、大変光栄に思います。これまでご指導頂いた先生方、一緒に研究して下さった同僚や学生、そして支えて下さった家族に深く感謝を申し上げます。当該研究は量子ビーム散乱の視点からソフトマターを注意深く考察することで得られた内容で、異分野融合的な研究だと私は思っております。国内の研究環境が厳しい状況にあるのにも関わらず、気の赴くままに研究できる場所と時間を提供頂けていることに大変感謝しております。また、これまで共同研究を通じてご支援頂いた企業の皆様にも深くお礼申し上げます。今後も基礎学問の発展、そして社会への実装に向けて研究を進めて参ります。ご支援の程、何卒宜しくお願い申し上げます。」