スタッフ

李 薛宇助教 (LI Xueyu)

研究室
ソフト&ウェットマター研究室
研究テーマ
高強度自己修復性ハイドロゲルの耐疲労性と破壊機構
研究キーワード

亀裂伝播機構、相分離、レオロジー応答、マルチスケール構造、疲労と破壊、靭性高分子ゲル

研究内容

(1) 精緻な階層構造から成る筋肉は、高い疲労耐性を示し、怪我による損傷があってもき裂の伝播を防ぎます。この階層構造によるき裂進展抑制のメカニズムはまだ良く理解されていません。丈夫で自己修復性を示すハイドロゲル(例えばpolyampholyteゲル)は、耐荷重性の生体組織の力学現象を理解する良い粗視化モデル材料です。このゲルの階層構造を調整することで得られる100nmスケールの共連続相ネットワークが顕著にき裂進展を抑えることを発見し、疲労耐性における階層構造の役割を明らかにしました。今後の展開として、私たちは筋肉様の階層構造をゲルに導入し、生理環境下での疲労耐性や自己修復能の達成を目指します。これらの研究は医療や組織工学などへの応用が期待されます。

(2) 共有結合で構成される高分子網目に非共有結合性の可逆的な相互作用を導入することで発現する粘弾性は、エラストマーやゲル、人体組織などのソフトマター全般によく見られる特徴です。非共有結合性の可逆的な相互作用のレオロジー的な応答に対応する粘弾性エネルギー散逸は、材料の靭性やき裂耐性に関わる重要な要素です。しかしながら、この疲労に対する影響、特にき裂進展速度がゼロになる疲労の閾値に関して、まだ多くの未解明な点が残されており、私たちは丈夫で自己修復性を示すハイドロゲルにおける粘弾性応答と疲労耐性の関係性を研究しています。

担当学部・大学院

メッセージ

自己修復性ハイドロゲルは、構造的・力学的特性において生 体組織と高い類似性を有しています。生体組織様ソフトマテリアルの高い伸縮性、強い耐疲労性、自己修復性のメカニズムにご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。

代表的な研究業績

X. Li, J. P. Gong, Role of dynamic bonds on fatigue threshold of tough hydrogels. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 119, e2200678119 (2022).

X. Li, F. Luo, T. L. Sun, K. Cui, R. Watanabe, T. Nakajima, J. P. Gong, Effect of Salt on Dynamic Mechanical Behaviors of Polyampholyte Hydrogels. Macromolecules 56, 535–544 (2023).

X. Li, K. Cui, T. Kurokawa, Y. N. Ye, T. L. Sun, C. Yu, C. Creton, and J. P. Gong. Effect of Mesoscale Phase Contrast on Fatigue-Delaying Behavior of Self-Healing Hydrogels. Sci. Adv., 2021, 7: eabe8210.

X. Li, K. Cui, T. L Sun, L. Meng, C. Yu, L. Li, C. Creton, T. Kurokawa, and J. P. Gong. Mesoscale Bicontinuous Networks in Self-Healing Hydrogels Delay Fatigue Fracture. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 2020, 117(14): 7606.

K. Cui, Y. N. Ye, C. Yu, X. Li, T. Kurokawa, and J. P. Gong. Stress Relaxation and Underlying Structure Evolution in Tough and Self-Healing Hydrogels. ACS Macro Lett., 2020, 9(11): 1582.

researchmap参照
https://researchmap.jp/lixueyu

備考

<オフィスアワー>
・訪問受け入れ日時:講義期間中はいつでも
・居室:次世代棟3階
※不在の場合があるため下記メールアドレスへ事前連絡の上来室してください。
lixueyu[at]sci.hokudai.ac.jp

所属