注目の研究を解説!「爆発する!?ゲル」(中島祐准教授)

中島 祐 准教授

ゼリーなどのように、水を含んだやわらかい物質がゲルです。中島 祐(なかじま たすく)准教授(先端生命科学研究院)は、ゲルを爆発させることに成功したそうです!一体、どういうことなのでしょうか?中島准教授にインタビューしました。

 

―なぜこの研究をしようと思ったのですか?

ゲルは高分子の網目からできています。網目が液体を吸って膨らむとゲルになります。構造上は、網目が目いっぱい伸びるまで膨らませることができるはずです。でも網目を液体に浸しただけでは、そこまで膨らみません。もっと膨らませるには、どうしたらいいのか?また、ゲルはどこまで膨らむのか?限界に挑戦しました。

―どうやって膨らませたのですか?

高分子の網目の中にひも状の高分子を入れてあげると、網目内部の高分子濃度が高くなって、より水を吸いやすくなります。網目にひも状高分子を入れて、水を吸わせて膨らませ、さらにひも状高分子を入れる…これを繰り返しました。

―どのような結果になりましたか?

どんどん膨らませていくと、あるところでゲルは形を保てなくなり、爆発するように崩壊しました。水を詰め込み過ぎたために、網目が耐えきれなくなったと考えられます。

高分子の網目に水を詰めこみすぎてゲルが爆発する(論文の図を改変)

ゲルが水中で爆発する様子(論文より引用)

―今回の結果は、何かに役立ちますか?

廃棄しても環境中に残らない高分子材料として使えることを期待しています。爆発する直前のゲルを乾燥させると合成樹脂となり、普通の高分子材料と同じように利用できます。本材料が不要になった際は、水に入れればバラバラになるので、環境中にプラスチックゴミとして残存することがありません。

元の論文

Osmosis-Induced Mechanical Disintegration of Polymer Network Gels