一歩踏み出した先の研究集会での邂逅

柴垣 光希
ソフトマター専攻・修士課程・1年
蛋白質科学研究室

 

先端生命科学研究院・生命科学院では所属の大学院生に対する「スキルアップ支援」を実施しています。

対象は、生命科学専攻(生命融合科学コース)またはソフトマター専攻に所属する、「MC-DC一貫短縮修了コース(※)」の学生、及び博士課程への進学を希望する優秀な学生です。学生の研究能力向上のため、学会参加などへの支援を行います。
(※)優秀な学生を対象に、標準修業年限(修士課程2年、博士後期課程3年)を短縮(修士課程1-1.5年、博士後期課程2-2.5年)しての博士学位の取得を目指すコース

 

支援を受けた学生によるレポートを紹介します。

一歩踏み出した先の研究集会での邂逅

本スキルアップ支援は使途の自由度の高さが非常に魅力的であり、普段の研究生活では参加できない学会を体験することができました。私は普段の研究では抗菌ペプチドという、我々ヒトも持っている殺菌効果をもつタンパク質の、カタチとはたらきを調べています。

抗菌ペプチドの大量生産のために、遺伝子組換え大腸菌の培養を行っている様子。
精製したタンパク質サンプルを、高分解能NMR(核磁気共鳴)装置で測定する様子。
得られた電磁波信号を解析し、タンパク質の立体構造や運動性に関する情報を得ることで、抗菌ペプチドの殺菌メカニズムを分子レベルで理解する。

これまで私の興味の対象は主に分子メカニズムでした。しかし今回参加できた日本生理学会は、ノーベル賞受賞者の山中伸弥先生のような医学部の方が多く参加される少し視点の異なる学会であり、このような機会でなければなかなか参加できなかったものでした。

大会入り口の看板との一枚。洗練されたデザインで印象的だった。

本学会での講演やポスターセッションを通じて多くの研究者の方の考えに触れる中で、自分の研究を違った視点から見つめることができました。特に、ヒトの疾患を治療したい、という強い情熱を軸に研究されている方が多い印象があり、自身の研究との向き合い方を考える良い刺激となりました。

また、自分と似た生物学的現象を扱っているが捉え方やアプローチが異なる研究にも触れ、議論を通じて自分の研究へ新たな視点からの考察を得ることもできました。このような邂逅が研究集会の醍醐味だと感じます。

自分の普段の専攻分野とは少し離れた分野の研究に触れ、積極的に議論することは、自身の研究人生のブラッシュアップにつながります。好機を見つけるアンテナを日頃から張っておき、チャンスを逃さずぜひ積極的にトライしてみてください。

第100回記念大会ということで、鏡開きセレモニーが開催されていた。その時に使われた酒樽と。
第100回記念大会鏡開きセレモニーで参加者に配布された祝い酒を頂いたときの写真。大会オリジナルの升からは心地よいヒノキの香りが漂っていました。