スタッフ

新井 達也助教 (ARAI Tatsuya)

研究室
蛋白質科学研究室
研究テーマ
不凍タンパク質の構造・機能・系統解析、時分割X線解析によるダイナミクス測定
研究キーワード

蛋白質科学、構造生物学、X線結晶構造解析、不凍タンパク質、氷結晶、低温生物学、系統学、時分割X線回折、高分子複合材料、分子ダイナミクス

研究内容

(1) 不凍タンパク質の構造・機能・系統解析

北極や南極の海に生息する魚は、なぜ凍らないのでしょうか?今から50年以上前、研究者達のそんな疑問から発見されたのが”不凍タンパク質 (AFP)”です。AFPは低温環境に生息する生物の体液中に高濃度で存在し、発生してしまった氷の微結晶に結合して成長を阻害することで、生体全体が凍結するのを防いでいると考えられています。極地の魚類だけではなく、クワガタなどの昆虫、ニンジンなどの植物、キノコなどの微生物から様々な構造のAFPが発見されてきました。私はこれらの多様なAFP分子が、①どのように氷に結合しているのか?②どのように進化してきたのか?③どのように応用できるか?を研究しています。これらの研究は、食品・生体物質などの冷凍技術の発展に大きく貢献します。

(2) 時分割X線回折を用いた高分子ナノコンポジット材料のダイナミクス測定

高分子ナノコンポジット(PNC)は高分子にナノ粒子を混合した複合材料で、ゴム、ゲル、樹脂素材、接着剤などの様々な商品・材料として利用されています。PNCにおいて、高分子とナノ粒子のナノレベルの相互作用が、引張強度や伸び率などのマクロな物性を規定することは広く知られています。私はそのような相互作用をダイナミクス(動きやすさ)の観点から測定し、マクロな物性との関係性を研究しています。特に、PNCの時分割X線回折画像からダイナミクスを測定する手法(Diffracted X-ray Blinking (DXB))を開発・応用しています。

担当学部・大学院

メッセージ

蛋白質の持つ多様な構造と機能に魅了される研究者は非常に多いです。私達と一緒に新たなタンパク質を発見し、解析し、技術発展させて行きませんか?

代表的な研究業績

T. Arai, K. Mio, H. Onoda, L.M.G. Chavas, Y. Umena, Y.C. Sasaki, The Blinking of Small-Angle X-ray Scattering Reveals the Degradation Process of Protein Crystals at Microsecond Timescale, Int J Mol Sci. 24 (2023) 16640.

Y. Yang, A. Yamauchi, S. Tsuda, M. Kuramochi, K. Mio, Y.C. Sasaki, T. Arai, The ice-binding site of antifreeze protein irreversibly binds to cell surface for its hypothermic protective function, Biochem Biophys Res Commun. 682 (2023) 343–348.

T. Arai, A. Yamauchi, Y. Yang, S.M. Singh, Y.C. Sasaki, S. Tsuda, Adsorption of ice-binding proteins onto whole ice crystal surfaces does not necessarily confer a high thermal hysteresis activity, Sci Rep. 12 (2022) 15443.

T. Arai, R. Inamasu, H. Yamaguchi, D. Sasaki, A. Sato-Tomita, H. Sekiguchi, K. Mio, S. Tsuda, M. Kuramochi, Y.C. Sasaki, Laboratory diffracted x-ray blinking to monitor picometer motions of protein molecules and application to crystalline materials, Structural Dynamics. 8 (2021) 044302.

T. Arai, A. Yamauchi, A. Miura, H. Kondo, Y. Nishimiya, Y.C. Sasaki, S. Tsuda, Discovery of Hyperactive Antifreeze Protein from Phylogenetically Distant Beetles Questions Its Evolutionary Origin, Int J Mol Sci. 22 (2021) 3637.

T. Arai, Y. Nishimiya, Y. Ohyama, H. Kondo, S. Tsuda, Calcium-binding generates the semi-clathrate waters on a type II antifreeze protein to adsorb onto an ice crystal surface, Biomolecules. 9 (2019).

T. Arai, D. Fukami, T. Hoshino, H. Kondo, S. Tsuda, Ice-binding proteins from the fungus Antarctomyces psychrotrophicus possibly originate from two different bacteria through horizontal gene transfer, FEBS Journal. 286 (2019) 946–962.

備考

<オフィスアワー>
・訪問受け入れ日時:講義期間中はいつでも
・居室:理学部2号館7階2-710室
※不在の場合があるため下記メールアドレスへ事前連絡の上来室してください。
t.arai[at]elms.hokudai.ac.jp

所属