スタッフ

中村 公則教授 (NAKAMURA Kiminori)

研究室
自然免疫研究室
研究テーマ
Paneth細胞 αディフェンシンが担う腸内細菌叢の形成からみた生体恒常性の維持機構の解明
研究キーワード

粘膜免疫、自然免疫、抗菌ペプチド、defensin、消化管、パネト細胞、幹細胞、感染症、炎症性腸疾患、腸内細菌叢、DOHaD

研究内容

αディフェンシンの腸内細菌叢制御による母子健康の増進
数十兆の細菌が私たちの腸内には生息しており、これらは腸内細菌叢を形成することで免疫や代謝など、さまざまな生体機能に関与します。この腸内細菌叢のバランス破綻(dysbiosis)は、肥満や糖尿病、さらにはうつ病や自閉症などの発症に関与します。一方、妊娠期の母胎環境は子供の将来の健康に影響するという考えである、Developmental Origins of Health and Disease(DOHaD)仮説が知られています。このDOHaDを誘導する環境要因として、食生活などに影響される母親の腸内細菌叢の関与が注目されていますが、そのメカニズムの詳細は不明です。そこで私たちは、悪い食習慣によって、腸内細菌叢調節因子であるαディフェンシン低下を介して誘導された母親のdysbiosisが、子の腸内環境へ伝播することが子の将来の疾患リスクの上昇への関与するのではないかと考えて、これを証明するための研究、さらにはαディフェンシンを増強できる食成分を開発することで、母子健康の増進に貢献することを目指しています。

炎症性腸疾患の新規治療の開発
炎症性腸疾患である潰瘍性大腸炎とクローン病は、現在も患者数が増加しています。しかし、病因が不明であり根本的治療法は未だにありません。私たちは、IBDの病因を解明するために、微生物と宿主の抗菌ペプチド、特にPaneth細胞αディフェンシンとのクロストークに着目し、解析を行っています。そして、Paneth細胞の自然免疫関連分子や腸上皮幹細胞と再生・分化因子を標的とした新しい治療法を研究開発しています。

担当学部・大学院

メッセージ

意欲とアイディアさえあれば自由に研究を進めていく環境が整っています。免疫や腸内細菌に興味のある意欲ある学生の研究室への参加を期待しています。

代表的な研究業績

Shimizu Y, Yamamura R, Yokoi Y, Ayabe T, Ukawa S, Nakamura K, Okada E, Imae A, Nakagawa T, Tamakoshi A, Nakamura K. Shorter sleep time relates to lower human defensin 5 secretion and compositional disturbance of the intestinal microbiota accompanied by decreased short-chain fatty acid production. Gut Microbes 2023. doi.org/10.1080/19490976.2023.2190306.

Nakamura S, Nakamura K, Yokoi Y, Shimizu Y, Ohira S, Hagiwara M, Song Z, Gan L, Aizawa T, Hashimoto D, Teshima T, Ouellette AJ, Ayabe T. Decreased Paneth cell α-defensins promote fibrosis in a choline-deficient L-amino acid-defined high-fat diet-induced mouse model of nonalcoholic steatohepatitis via disrupting intestinal microbiota. Sci Rep 2023. doi.org/10.1038/s41598-023-30997-y.

Suzuki K, Nakamura K, Shimizu Y, Yokoi Y, Hagiwara M, Ohira S, Wang Y, Song Y, Aizawa T, Ayabe T. Decrease of alpha-defensin impairs intestinal metabolite homeostasis via dysbiosis in mouse chronic social defeat stress model. Sci Rep 2021. doi: 10.1038/s41598-021-89308-y.

Nakamura K, Yokoi Y, Fukaya R, Ohira S, Shinozaki R, Nishida T, Kikuchi M, Ayabe T. Expression and localization of Paneth cells and their alpha-defensins in the small intestine of adult mouse. Front Immunol 2020. doi: 10.3389/fimmu.2020.570296.

Shimizu Y, Nakamura K, Yoshii A, Yokoi Y, Kikuchi M, Shinozaki R, Nakamura S, Ohira S, Sugimoto R, Ayabe T. Paneth cell alpha-defensin misfolding correlates with dysbiosis and ileitis in Crohn’s disease model mice. Life Science Alliance 2020. doi: 10.26508/lsa.201900592.

Yokoi Y, Nakamura K, Yoneda T, Kikuchi M, Sugimoto R, Shimizu Y, Ayabe T. Paneth cell granule dynamics on secretory responses to bacterial stimuli in enteroids. Sci Rep 2019. doi.org/10.1038/s41598-019-39610-7.

北大研究者総覧参照

備考

<オフィスアワー>
・訪問受け入れ日時:講義期間中はいつでも
・居室:次世代棟4階
※不在の場合があるため下記メールアドレスへ事前連絡の上来室してください。
kiminori[at]sci.hokudai.ac.jp

<関連する主なSDGs>
3. すべての人に健康と福祉を
4. 質の高い教育をみんなに
9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
17. パートナーシップで目標を達成しよう

所属