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お弁当の入ったプラスチック容器を電子レンジで温めすぎて、グニャグニャにしてしまったことはありませんか?プラスチックは温めると硬い状態から柔らかい状態に変化します。
材料の硬さが変わるときの温度を制御しようと研究したのが、野々山 貴行 准教授(先端生命科学研究院)です。野々山准教授が発表した論文「臨界的可溶条件下での相分離によるガラス転移」(2024年9月出版)について、インタビューを行いました。
なぜ、この研究を行ったのですか?
2種類の物質が混ざっていても、温度を変えると分かれてしまう場合があります。物質が混ざれなくなり分かれてしまう現象を「相分離(そうぶんり)」といいます。
私たちは、相分離によって材料全体が硬くなるゲル1を発見しました。相分離が起こると、内部は柔らかい成分と硬い成分に分かれます。硬い成分が全体的につながっていると、材料全体としても硬くなります。
ゲルは大気中に置かれると乾燥してしまうため、材料としては使いにくいです。そこで、プラスチックのような物質でも同じ現象を起こせれば、材料として使える幅が広がると考えました。
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どのような実験をしましたか?
高分子化合物に別の物質を混ぜる実験をしました。物質を選ぶときは、混ざりやすさを表す「溶解度パラメータ2」を指標にします。混ざるか混ざらないかギリギリの組み合わせを選ぶことで、温度変化によって相分離が起こり硬くなる材料ができました。
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今回の結果は、どのようなことに役立ちますか?
温度によって分離するような物質の組み合わせは、プラスチック材料の硬さ調整としてはこれまで注目されてきませんでした。しかし、混ざらない組み合わせを敢えて選び、相分離を利用することで、材料の硬さや硬くなる温度の調節が可能になります。また組み合わせを選ぶ際に溶解度パラメータを使えば、材料の設計が短時間で済みます。
今回作ったのは「温めると柔らかくなる」材料でした。同じ方法で探していけば、「温めると硬くなる」材料も見つかるかもしれません。常識とは逆の性質を持つ材料も作りたいと思っています。
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