生命科学院 博士2年の浦上 彰吾(うらかみ しょうご)さんは、北大の海外ラーニング・サテライトプログラムを利用して、2023年9月にスペインのラリオハ州へ短期留学しました。
浦上さんの留学レポートを紹介します。
浦上 彰吾(うらかみ しょうご)
生命科学院 生命科学専攻 生命融合科学コース・博士後期課程・1年生(当時)
留学期間:2023年9月10日~30日
留学先:スペイン、ラリオハ州
2023年9月10日~30日までスペインのラリオハ大学へ短期留学に行きました。ラリオハ大学はラリオハ州のログローニョにある1992年に設立された比較的新しい大学です。この留学の目的は、「国際共同研究、講義、国際シンポジウム等への参加及び補助事務等を通じ異分野および異文化交流、英語力の向上、人的ネットワーク構築の経験を重ね、目的達成のための国際人としての実践力を習得すること」です。本来の予定では、9月5日からスペインに滞在し国際シンポジウムなどに参加する予定でした。しかし、私は直前に新型コロナウイルスに感染してしまい、それらのイベントに参加することができませんでした。
留学では、以前、北大生命科学院の助教をされており、現在はラリオハ大学教授の Fayna 博士の研究室に所属し、研究活動を行いました。普段の私の研究分野とは別に、新たな研究手法を学びながら異なるテーマを進めていきました。そこで私は、異なる研究分野で留学することの困難さを学びました。日本の所属研究室では、前提知識がある事柄について留学生と英語で話し合う機会が多いです。前提知識が多い場合、全ての文を聞き取ることができなくても話を理解することができます。一方、今回の留学では、自身の知識が乏しい中、英語で説明を理解する必要がありました。単語を聞き取ることが出来た場合であれ、その単語の意味を知らないことがあり、理解するまでに時間を要しました。海外で新たな知識を身に着けたことは、私の研究の幅を広げることに繋がりました。
今回、印象に残った点は留学先の研究室が開放的であり、人との交流が多いという点です。日本の研究室は良くも悪くも閉鎖的であると感じます。居部屋や実験室など研究室のスペースは明確に定められており、試薬や実験器具の多くは研究室で独自に所有しているものです。他の研究室と何かを共有するという考え方はあまり浸透しておらず、隣の研究室であっても関りは少ないです。一方、留学先の研究室では、大きな実験室を複数の研究室で共有して利用していました。試薬や器具であれ殆ど全てのものを共有しており、研究室ごとの区別や制限が殆どありませんでした。また、平日は毎日、コーヒーブレイクという形で、教授も学生も研究室も関係なく同じ机で数十分コーヒーを飲む文化がありました。このような環境下では、同じ研究室の学生のみならず、異なる研究室の学生、先生方と会話しやすく、さらに研究の相談のハードルも低くなると感じます。研究室の垣根を超えた交流は、それぞれの知見を活かした共同研究を企画しやすく、大きなメリットがあるように感じました。
また、留学先のログローニョでは、9月16日~22日まで「サン・マテオ祭り」と呼ばれるぶどうの収穫祭が開催されていました。ラリオハ州はスペインを代表するワインの名産地であり、どこでも美味しいワインが安く提供されていました。お祭りでは、巨大人形(ヒガンテス)を用いたパレードや闘牛など日本とは異なるスペインの伝統的な文化を体験することができました。収穫祭に参加することにより、ラリオハ州の文化や風習など様々な事を学ぶことに繋がりました。
今回、留学を通して得られた経験を今後の研究や生活に活かしていきたいです。また、留学先では特に、Fayna 博士に丁寧に研究指導をしていただきました。この場を借りてお礼申し上げます。