生命科学院 博士2年の村上 賢(むらかみ けん)さんは、北大の海外ラーニング・サテライトプログラムを利用して、2023年9月にスペインのラ・リオハ州へ短期留学しました。
村上さんの留学レポートを紹介します。
村上 賢(むらかみ けん)
生命科学院 生命科学専攻 生命融合科学コース・博士後期課程・1年生(当時)
留学期間:2023年9月5日~30日
留学先:スペイン、ラ・リオハ州
2023年9月初めから月末までの1ヶ月間、スペインのラ・リオハ州へ留学に行って来ました。
9月7日は、ラ・リオハ州のワイナリー「Bodegas Campo Viejo」で開催された国際シンポジウム「I Glycoforum La Rioja-Euskadi-Hokkaido」に参加しました。翌日は「Instituto de la Lengua en San Millán de la Cogolla」を訪れ、ラ・リオハ州がスペイン語発祥の地として重要であり、どのようにスペイン語が生まれたのかを学びました。さらに3週間ほどラ・リオハ州ログローニョにあるラ・リオハ大学の研究室で研究活動を行いました。
国際シンポジウムでは研究発表を行いました。国際的な場での発表は初めてで、中々英語が口から出てこず、十全に研究内容を伝えられたとは言えなかったです。しかし、参加者の皆様は私の発表を真剣に聞いてくださり、発表の後にカフェで意見交換などをさせていただきました。自分の伝えたいことを上手く英語で言えなくても、身振り手振りや相手に分かってもらおうという熱意を持ってコミュニケーションをすることの重要性を知ることができました。
翌日はスペイン語の発祥についての講義を Instituto de la Lengua en San Millán de la Cogolla にて聴講し、それに深い関係のある二つの修道院(SusoとYuso)を訪れました。
私が普段行っている化学や生物の研究とは異なる、言語の研究についてのお話を伺うのは非常に興味深かったです。
以降の3週間は、日本の所属研究室に助教として来られていた Fayna 先生の研究室で自己組織化タンパク質の合成実験をしました。私は普段、低分子化合物やナノ粒子を用いた実験を行っており、私にはあまり馴染みのないタンパク質合成(ペプチド固相合成)を指導していただきました。合計3種類のペプチドを合成し、なかなかペプチドが伸長しないなど、困難なこともありましたが、非常に得難い経験を積めました。
滞在中、リオハのぶどうの収穫祭(サン・マテオ祭り)が開催されていました。リオハは世界でも有数のワインの生産地で、ワインの原料であるぶどうの収穫祭は、非常に盛り上がっていました。サン・マテオ祭りはリオハの文化と伝統を深く感じさせるお祭りで、野菜の試食会や人形劇、子供たちによる闘牛の練習などがあり、さまざまな催しを経験しました。日本のお祭りとは明確に異なっており、屋台のようなものがほとんどなかったことが印象的でした。留学中にサン・マテオ祭りに参加できたことは非常に幸運でした。
滞在先は Residencia universitaria francisco jordan salvatorianos という寮でした。スペイン人の学生が多く滞在していましたが、中には家族連れや学校の先生も滞在しているようでした。朝食や昼食をスペイン人の学生のみならず、フランス人の高校教師の方やコロンビア人の大学院生の方と一緒にとり、文化交流を行いました。
シンポジウムや研究生活を通して、他国の異なる文化に接することができ、非常に有意義な1ヶ月を過ごすことができました。
ここで学んだことを今後の研究生活に活かして行きたいです。