理学部生物科学科(高分子機能学)では、キャリアパス教育の一環として、3年生を対象にした学科イベント「DCは語る」(DC:Doctoral Course=博士課程)を定期的に開催しています。博士課程の学生の研究生活や進学経験を聞くことで、進路の一つとして博士課程進学を考えてもらうことが目的です。2022年6月10日は、生命科学院 ソフトマター専攻 博士1年の飯塚 友菜(いいづか ともな)さんが話しました。
飯塚さんは理学部生物科学科(高分子機能学)を卒業後、2020年4月に生命科学院 ソフトマター専攻へ進学しました。学位取得までの期間を短縮できる「MC-DC一貫短縮修了コース」を利用して、2021年10月から博士課程に進学しています。
生物と物質の境目が知りたい
小さいころから生命現象に興味がありました。大学では生命科学を学びたかったので、学科は高分子機能学を選択しました。
生物の最小単位は細胞ですが、それは非生物の分子の集まりから成っています。生きている細胞と物質である分子の中間の存在が、タンパク質です。物質なのに機能を持って働くタンパク質に興味を持ち、蛋白質科学研究室(相沢研究室)を選びました。
身近なアレルギーを研究
研究では、花粉症の原因となる、スギなどの花粉に含まれるGRP(ジベレリン調節タンパク質)を扱っています。どんな仕組みでアレルギーが起きるのか、タンパク質のどういった構造が関わっているのかなどを調べています。対象とするタンパク質を自分で作り、構造を解析して、患者さんの血液に含まれる抗体との反応を調べるまでの一連の研究をしています。
私自身にもアレルギーがあります。人に研究内容を話すと、「自分も花粉症だからがんばってほしい!」と応援されることもあります。みなさんが関心を持つテーマなので、やりがいを感じます。
短縮コースで進学を決意
修士課程卒業後は就職するつもりでしたが、就職活動中に興味を持ったのは研究職ばかりでした。「自分は研究がしたいのではないか?」と気づき、博士課程への進学を考え始めました。
一方で、学生を続けることや経済面にも不安がありました。そのときに紹介された制度が「MC-DC一貫短縮修了コース」です。修士課程(MC)と博士課程(DC)を合わせると、通常5年かかりますが、このコースを利用すれば、それより早く博士号を取得することができます。修士課程を1年半で修了して博士課程に進学し、博士課程も短縮修了することを目指しています。経済的な支援もあり、感じていた不安を解消できそうだったので、短縮コースでの進学を決めました。
進路を選択するときに
現在は花粉症や食物アレルギーに関する研究をしているので、食品系や製薬系の企業で基礎研究に携わることに興味があります。そうした企業で研究職に就くことが、博士号取得を目指すモチベーションの一つになっています。ただし、修了後に進路を選択するときは、分野へのこだわりで視野を狭めたくないと思っています。博士課程では専門性だけでなく、研究を進める能力も身に付くので、それが強みになると考えています。大学が提供している、博士課程の学生と企業をつなぐサポートなどを利用しながら活躍できる場所を見つけたいです。